[ コンテンツマーケティング という言葉がよく聞かれるようになったのは、米国では2000年代、日本では2010年頃からだったと思います。今となっては、特に珍しい言葉ではありません。今回は、改めて、コンテンツマーケティングとは何かについてご紹介します ]
今さら聞けない「 コンテンツマーケティング とは何か?」
コンテンツマーケティングは、ここ何年かで、情報過多の時代ということもあり、競争優位性を確保できるマーケティング手法という感じではなくなった気がします。むしろ、コンテンツマーケティングを実施していないと、これからの営業・マーケティング活動においては致命傷になるかもしれないと思うぐらい必要な手法になってきているのではないでしょうか。
多くのユーザーがネットで検索したり、ソーシャルメディアを使ったり、オンラインでの買い物をしたりします。オンラインでの活動が増えれば増えるほど、今までのマーケティング活動からデジタルマーケティングへの投資は増えている傾向にあるといえます。そのため、特にデジタルにおけるコンテンツマーケティングは、今まで以上に力を入れる必要があるものなってきています。
ただ、コンテンツマーケティングと聞くと、ブログを思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。そこで、あらためて、まずは、コンテンツマーケティングとは何か?を整理していきます。
コンテンツマーケティングとは?
コンテンツマーケティングとは、お客様にとって価値のあるコンテンツを提供して、気に入ってもらい、最終的に売上に結びつくマーケティング手法です。従来の売り込む意識が強い、企業目線のマーケティングや広告などから、よりお客さまの視点になったマーケティングです。
もう少し詳しく説明すると、将来お客さまになりそうな人たちに対して、関係していて、価値があり、問題を解決する、もしくは興味深い、一貫性を持ったコンテンツを適切な形で届けることに注力したマーケティングの概念です。人々を惹きつけ、関係性を築き、最終的には商品やサービスを購入していただくための戦略的なアプローチです。
米国のコンテンツマーケティングインスティチュート ( Content Marketing Institute ) では、コンテンツマーケティングを次のように定義しています。
Content marketing is a strategic marketing approach focused on creating and distributing valuable, relevant, and consistent content to attract and retain a clearly defined audience — and, ultimately, to drive profitable customer action.
参照:What is Content Marketing?
【和訳】
コンテンツマーケティングとは、価値、関係性、一貫性のあるコンテンツを作り、それを届けることに重点をおいた戦略的なマーケティングアプローチである。明確に定義されたユーザーを惹きつけて、関係を維持し、最終的には利益に結びつく行動を促す手法である。
この定義では、コンテンツマーケティングは、ブログや動画などの方法を限定はしていません。自社の商品やサービスを売り込むのではなく、見込み客や顧客が抱えている課題を解決できるような、適切で役に立つ情報を提供することだと言えます。つまり、「企業が伝えたいこと」を伝えるのではなく、「対象としているユーザーが知りたいこと」に寄り添って、情報を発信することです。
お客さま視点で、役に立つ情報を提供し続けることで、好感度や信頼度を高め、商品やサービスを買っていただくのです。企業にとっては、売上を上げ、マーケティングコストも削減し、自社のファンや推薦者を増やすというメリットがあるのです。事実、多くの企業がコンテンツマーケティングに取り組んでいます。
お客さまは売り込みにうんざりしている
そもそも、なぜコンテンツマーケティングの必要になったのでしょうか? 単純に言えば、広告など企業から一方的に情報提供されるのがうっとうしいからです。「必要でもないのに、商品やサービスの情報を送りつけられた」と感じたことは誰だって一度はあるでしょう。フォーブス ( Forbes.com )によると、ほとんどの人が、毎日4,000から10,000もの広告に触れているといいます。
出展: Finding Brand Success In The Digital World
実際に、今まで企業が当たり前のようにやっていた、広告や電話営業など売り込み型の宣伝の効果は、以前と比べて落ちてきているところが多いのではないでしょうか。情報過多の時代と言われていますが、「情報疲れ」あるいは「広告疲れ」を起こしているのです。
一方で、私たちは、自分が知りたい情報や面白い情報などは、自分から探しに行きます。事実、私たちは、従来からあるテレビや新聞、雑誌、展示会などの媒体だけではなく、ネットやSNSなどのオンラインでも情報収集しています。
つまり、繰り返しになりますが、企業が伝えたいことではなく、相手が知りたいこと、相手が興味を持つこと、相手の課題を解決できるような、相手に関係していて役に立つことに寄り添って、情報を発信することが大切です。
これ以外にも、例えば、Googleの検索が「良質なコンテンツ」を高く評価し、検索からより多くの人の流入があり、そのコンテンツを見てもらえるという流れもあります。
コンテンツマーケティングとコンテンツSEOの違い
最後に、コンテンツマーケティングと混同されがちな言葉に「 コンテンツSEO 」があります。コンテンツSEOとは、SEO ( Search Engine Optimization、検索エンジン最適化 )対策の一つです。サイトでユーザーにとって役に立つコンテンツを発信することで、Googleなどの検索エンジンの検索結果に自社コンテンツが上位に表示させるようにするというものです。デジタルマーケティングの一つとも言えます。
そのため、コンテンツを発信するという意味では共通しているところもありますが、簡単に言えば、対象媒体が違います。コンテンツマーケティングは、検索エンジンだけではなく、ソーシャルメディア、メールなどのオンラインだけではなく、展示会やパンフレットなどのオフラインのものも含まれます。そのため、コンテンツSEOは、コンテンツマーケティングの手段の一つと考えることができます。
「 ZMOT 」を意識する
コンテンツマーケティングにおいては、「 ZMOT 」(リンクは用語説明ページへ)を意識することは大切です。情報収集している段階で、実質的に購入の意思決定をされていることを踏まえ、どういうコンテンツが求められ、どう発信していくのかを考えなければなりません。