[ カスタマージャーニー とは、お客さまの視点になること ]
お客さまの情報・購買行動、消費者心理・感情などを理解することは、営業・マーケティングにとって重要です。お客さまをしっかりと理解すれば、どこで接点を持ち、どのようなメッセージを、どのようなタイミングで、どう伝えればいいのかを考えられるようになります。以前、自社の商品やサービスを提供する対象としたお客さま像として「バイヤーペルソナ」についてご紹介しました。今回は、お客さまの行動や心理状態、考えなどを理解する上で役に立つ「カスタマージャーニー」についてご紹介します。
カスタマージャーニーでお客さま目線になる
カスタマージャーニーとは、お客さまの行動や考え、感情や状態などの変化を時系列で見える化したものです。お客さまの視点になる手法とも言えます。通常、お客さまが課題やニーズに気づいてから、あるいは商品やサービスを知ってから、購入し利用するまで、または、使わなくなるまでに、お客さまが辿る一連の体験を「お客さまの旅」として例えられ、活用されています。
例えば、何かものを買う時にウェブやお店で調べたり、知り合いに相談したり、口コミをチェックしたり、さまざまな行動があります。そのときどきの心理や感情、考えなど、一般的な購買プロセスではわからない詳細をカバーした、お客さまの購入物語を表現しているともいえます。
物語ゆえに点ではなく、流れ(線)でお客さまの動きを見ると、よりお客さまについて理解できると思います。ホームページを見に来てくれた、問い合わせしてくれた、商品やサービスを買ってくれたという行動だけを見るのではなく、なぜそのような行動をとったのか、できるだけその前後や背景にあるものを意識すると、数字だけでは見えないものが見えてきます。例えば、どのような課題を抱え、どのような考えや思いで、どのような情報を求めていたのかなどです。
これらの詳細や流れをわかりやすくビジュアル化されたものを「カスタマージャーニーマップ」といいます。カスタマージャーニーマップとは、売り手の企業目線で言えば、認知から購入までの各段階において、お客さまが必要としているものや情報を、適切な方法やタイミングで提供するための設計図と言えるでしょう。
カスタマージャーニーが必要となった背景
従来であれば、一般的に言えば、4大マスメディア(テレビ、新聞、雑誌、ラジオ)、BtoBよりだと、業界新聞や専門紙、展示会や商社経由など、情報を得られるところは限られていました。そのため、お客さまとつながれる場所や情報を提供できるところは、ある程度想定できました。そのため、セグメンテーションやターゲティングをしっかり行い、どのようなお客さまかを意識して、マーケティング・販促に力を入れるだけでよかったかもしれません。
しかし、ここ10年、20年でSNSやホームページ、動画やポータルサイトなど、いろいろなところやツールで情報を得られようになりました。お客さまの情報・購買行動はさまざまです。お客さまの行動が多様化し、複雑化したため、自分たちの経験や感覚だけでは行動を把握するのが非常に難しくなりました。一方、お客さまの行動情報を得られるツールやサービスも増えました。テクノロジーの進化により、個々の人の興味や行動など合わせてサービスを最適化できるようにもなりました。いわゆる、パーソナライゼーションです。
こうした背景があり、お客さまに対して適切な情報を適切な場所やタイミング、方法で効率よく伝えるため、お客さまの目線に立つためにもカスタマージャーニーの活用は重要になっています。事実、日本語でカスタマージャーニーを説明しているサイトも今は多いです。グローバルと日本では、カスタマージャーニーに注目し始めた時期は違いますが、注目は高まっていることはわかります。
カスタマージャーニーマップはお客さまありき
カスタマージャーニーマップを作成する際、一般的には、認知、情報収集、比較検討、購入などの購買プロセスにおける各段階において、お客さまの行動や状態、情報ニーズなどを整理します。しかし、決まったカスタマージャーニーやフォーマットがあるわけではありません。
カスタマージャーニーは、企業やビジネス内容、商品やサービス、あるいはバイヤーペルソナによっても異なります。例えば、一度売って終わるような商品であれば、購入後は意識する必要がないでしょう。一方で、運用を支援するようなサービスであれば継続利用の段階を詳しくしていく必要があります。
カスタマージャーニーマップはただの表であり図です。以下は、カスタマージャーニーマップのテンプレートの一部ですが、自社のお客さまに合うような中身にしていくことが重要です。
次回から、カスタマージャーニーのメリットや課題、カスタマージャーニーマップの作り方などについて紹介していきます。