インサイドセールスの導入: 成功につなげるポイントを紹介

『 はじめてのマーケティング 』シリーズ –インサイドセールスの導入: 成功につなげるポイントを紹介
前回は、インサイドセールスのメリットや課題についてご紹介しました。今回は、インサイドセールスを導入する上で意識したいこと、やっていきたいこと、うまくいくためのちょっとしたポイントなどについてご紹介します。

インサイドセールス

インサイドセールスの導入 について

以前、あるセールスマネージャーが「インサイドセールスとは、見込み客をお金に変えていくこと」だとおっしゃっていました。強いメッセージですが、売上を上げるために、マーケティング活動を通じて得た見込み客へアプローチして、確度の高い商談につなげ、外勤営業がスムーズにクロージングできる流れを作るという点においては、売り手視点で考えれば、そうなのかなぁと思いました。

一般的に言えば、インサイドセールスを導入する主な目的や狙いとしては、有望な見込み客を獲得したい、商談数を増やしたい、成約率を高めたい、少人数で多くのお客さまをカバーしたいなどではないでしょうか。今回は、そのような目的を果たすために、インサイドセールスを導入するにあたり、どのようなことを意識し、何をやっていくのが大切なのかなどについて紹介していきます。

営業プロセスの整理と役割分担

インサイドセールス導入にあたっては、まず自社の営業プロセスの理解と確立をすることが必要です。例えば、需要や営業機会を作るところから、受注に至るまでの間で、どのような活動がどのようなプロセスで進んでいるのかを整理することが必要です。その後、インサイドセールスが、どこからどこまでの業務を行うのか、マーケティングや外勤営業(フィールドセールス)のチームとどう役割を分担するのかを決めなければなりません。この線引きが曖昧だと、業務の混乱やチームの関係悪化を招きます。

営業プロセスの見える化や定義

マーケティングから営業すべての活動をスムーズに行っていくためには、最終的には、マーケティング、インサイドセールス、外勤営業のチーム間でSLA(Service Level Agreement:サービスレベルの合意書)を設定することが重要になります。そのためには、まず客観的な基準を設けられるよう、現状把握や見える化、またプロセスの定義づけをしていく必要があります。次のようなことを確認しながら、進めていきましょう。

  • 見込み客、有望な見込み客、商談化、失注などは具体的に何を指すのかの共通認識があるか?
  • 営業目標を達成するために十分な数の商談やアポ、見込み客(リード)を獲得できているのか?
  • 今までに獲得してきたリードはどれくらいあるのか?
  • 営業担当者がフォローできていない放置されたリードがどれくらいあるのか?
  • 顧客や商談、リード獲得単価はどれくらいか?
  • 外勤営業は十分な数の訪問や提案などできているのか?

インサイドセールスの立ち上げ

インサイドセールスを立ち上げる上で、人材をどう確保するのか、社内にいるメンバーでやっていくのか、外注するのか決めなければなりません。自社でのノウハウ蓄積、柔軟かつ迅速な対応、育成の時間やコスト、設備投資などの視点でどちらが自社に合っているのか検討するといいでしょう。ただ、テレアポ部隊と違い、インサイドセールスを立ち上げる場合は、周りを見ていると、社内メンバーで立ち上げることの方が多い気がします。営業経験があり、ロジカルに仕組みや体制を作っていける人材が向いているでしょう。

顧客データの管理

インサイドセールスが適切にターゲティングして、見込み客にアプローチしていくためには、顧客に関連する情報のデータ化と管理は必要不可欠です。例えば、どのような企業なのか、担当者はどのような人なのか、今抱えている課題は何か、どのように商品やサービスを知ったのか、今までどのようなやりとりがあったのか?他の部署や人とつながっているのか、過去に何かしらのやりとりがあったのかなどを把握することは、お客さまとコミュニケーションを図る上では重要なことです。

また、インサイドセールスがお客様とやりとりした内容、電話やメールでのコミュニケーションの内容をデータとして残すことも必要です。外勤営業がお客さまにあった的確な提案をするため、また商談をスムーズに進めていくためにです。例えば、インサイドセールスが、お客さまとどのようなやりとりをしたかの情報共有をしていないと、同じことをお客さまに聞いてしまったり、同じ話をしてしまったりします。このようなことがないように、しっかりと引き継ぎできる仕組みが必要です。

つまりお客さまの情報を管理できる仕組みや体制を作っていくことです。口頭で伝えたり、日報のような報告書を探せばわかるというやり方では効率が悪く、属人化の問題が起きます。インサイドセールスをはじめ、営業効率を高めていくために、Salesforceのような顧客管理システムや営業支援システム等を使って顧客データを適切かつ効率よく管理していきましょう。

シナリオやヒアリングシートをつくる

インサイドセールスは、電話やメール、Web会議ツールを使って、お客さまとコミュニケーションを図ります。どのような情報を、どのタイミングで、どのように伝えるのか、どうヒアリングするのかなどを事前に準備や計画をしておくことは大事なことです。どのような流れで話を進めていくと、より成果を出しやすいのか、あらかじめシナリオやスクリプトを用意しておきましょう。

このとき、個々の担当者に任せるのではなく、チームとして統一したベストプラクティス的なものを用意していきましょう。予定通りに話が進むとは限らないため、複数のパターンを用意しておくと、よりスムーズなやりとりを可能になります。また、お客さまの課題やニーズ、状況などヒアリングすべき項目をまとめたシートも準備しておきましょう。

KPIを設定する

インサイドセールスの導入を成功させるため、KPI(Key Performance Indicator)を定義して、運用していくことは重要です。組織によって目的が違ったりするため、重視するKPIは違ってきますが、一般的にアポ獲得数や商談化件数、商談化率、商談から受注した率などになるかと思います。あと、外勤営業による影響度、アップセルやクロスセルなどを考慮するしないによっても変わってくると思います。

また、行動に関する指標、例えば、電話の件数やメールなどを含めたすべての活動の数については、メインのKPIに設定するのはあまりおすすめできません。よくある問題としては、各担当者が自分の行動目標を達成するために、行動自体を優先してしまうからです。管理上、電話やメールの件数は増えているように見えるかもしれませんが、コミュニケーションの質が下がったり、確度の低い商談を作ったりしてしまうことが起きます。すると、数字の割には売上に貢献していない、さらに外勤営業にムダな活動をさせるリスクにもなります。そのため、まずはアポ獲得数や商談化件数、商談化率などからはじめ、数字をトラッキングしながら、チームメンバーのモチベーションも踏まえ、自社にあったカタチに調整していくといいでしょう。

インサイドセールスがうまくいくための9つのちょっとしたポイント

バイヤーペルソナを活用する

バイヤーペルソナとは、自社の商品やサービスを提供する対象、潜在的なお客さまの特徴を体現する架空のモデルのことです。バイヤーペルソナを作ることで、お客さまのニーズや課題などが見えてきます。自社の製品やサービスが、どのようにそれらの課題を解決できるのか、ニーズに応えられるのかを踏まえることで、実際の見込み客に対して、より適切な提案ができるようになります。

事前調査をサボらない

見込み客に連絡する前に、お客さまのことを調べ、商品やサービスだけでなく、できれば業界などについても少し調査を行うといいでしょう。お客さまのビジネス上の問題を理解するのに役立ちます。また社内で同じ業界や分野での実績やその内容を確認します。類似の課題の解決や用途の情報があれば、お客さまにとっては有益な情報になりえます。

製品やサービスをしっかり理解する

当たり前のことですが、お客さまに電話をかける前に、自社の製品やサービスをしっかりと理解することは大事なことです。お客さまから質問されたときに、ある程度は答えられないとみっともないというのもありますが、それよりも、ブランドの評判を落とすリスクがあるからです。

つまり、お客さまはあなたの企業を、その分野の専門家だと認識しています。たとえ技術者や現場に詳しい営業担当者でなくても、質問に答えられないのは、イメージを悪くします。もっと言ってしまえば、その見込み客はそれがキッカケで他社の製品やサービスに目を向けるかもしれません。そのため、製品や営業トークのトレーニングを受けたり、シナリオを複数のパターンで用意したりして、事前に対策をしておくことが重要です。

適切なタイミングでアプローチする

ただやみくもに電話をかけていくのではなく、実施した時間や結果をきちんと記録していきましょう。このように記録しておくことで、後からチームで振り返れば、例えば金曜日に電話をするとアポがとりやすい、夕方は電話が通じやすいなどの特徴が見えてくるかもしれません。またマーケティングオートメーションを導入していれば、スコアリング機能を活用したり、メールに反応し最近何回かホームページに来てくれた人を特定したりしながら、より適切なタイミングでアプローチをして、効率よく成果を出していきましょう。

いきなり売ろうとしない

お客さまの要望や状況にもよりますが、まずは見込み客との信頼関係を築くことに重きを起きましょう。そのためには、自社の製品やサービスを一方的に紹介するのではなく、まずはお客さまのビジネス上の問題点をヒアリングし、理解しましょう。そして、自社の製品やサービスが、お客さまの課題をどのように解決できるかに集中しましょう。

テンプレートを使用する

インサイドセールスを効率よく行う上では、メールのテンプレート活用は欠かせません。毎回、同じようなメールを何度も書いて送っていては時間がもったいないです。より多くの見込み客や問い合わせに対応するためにも、パーソナライズされたテンプレートを作ることは重要です。個人で用意するというよりは、チームで件名や内容なども精査し、作っていくといいでしょう。

手作業を減らす

業務アプリやツールなどの情報をCRMに入力したり、手動でデータを同期させていては時間と手間がかかります。IT担当者の協力を得て、自動で同期できるようにするといいでしょう。例えば、メールやチャットなどのやりとり、カレンダーの予定、売上情報などを自動で同期し、データを統合管理していくといいでしょう。

つながりを維持する

最初から意思決定者につながるとはかぎりません。やりとりしている相手は購入権限をもっていないかもしれません。ですが、意思決定に影響を与える可能性があるかもしれません。また将来、より有望な見込み客になるかもしれません。そのため、やりとりをするのに適切な人ではないと思っても無視するのではなく、メールマガジンなどで情報発信するなどしてつながりを維持することは大切です。

断られることはよくあることだと理解する

問い合わせいただいたお客さまをフォローするのは容易です。ですが、例えば、過去に商談にならなかったお客さま、失注したお客さまにアプローチすれば、何十件と連絡しても、全然反応がなかったり、断られたりすることはあります。新規顧客開拓でのアポ取りであれば、なおさらそうです。しかし、うまくいかないことを前提に改善していこうとすれば、より効果的な伝え方や話すポイントを学ぶことができます。製品や業界についてもより詳しく知ることもできます。考え方や捉え方を変え、挑み、改善を続けることも大切です。

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