令和上司 : グローバルで活躍する行動特性を持ち、令和の時代に求められるべき実力を備えた上司のこと
上司が部下にアドバイスや指導をするとき、相手のことを思ってやっていることでしょう。良かれと思って教えているため、話していることに疑問を持つことはないと思います。
ところが、相手の受け止め方は、私たちの期待とは違うことがあります。私たちが正しいと思うこと、例えば「〜するべき」「〜しないといけない」みたいなことを熱意を持って言えば言うほど、それを聞いている部下は「説教されている」「叱られている」と感じてしまうことがあります。そうなると、なかなか素直に聞いてもらえなくなります。
では、説教っぽくならないよう伝えるにはどうすればいいでしょうか?
伝え方をちょっと工夫するだけで、相手は意外に素直に聞いてくれるものです。
ここでは3つの方法を紹介します。
① 失敗談を語る
部下からナメられるので、失敗を話したくない人もいるかもしれません。ですが、「失敗を避けたい」という部下のニーズにマッチしているため、興味を持って聞いてもらえます。失敗談を聞いてから、アドバイスを聞くと「確かにそうかも」と納得してもらいやすいです。単純に「上司がどういう失敗をしたのか気になる」という興味本位から聞いてくれる部下もいます。大事なことは、相手本位で考えて伝えることです。あと、失敗談を披露してスキを見せることで「上司もそうだったんだ」と安心感を与え、親しみを持ってもらえるメリットもあります。また、「失敗や挫折により傷ついた経験があるから、それを部下にはしてほしくない」という思いを伝えることができれば、部下との関係もよくなるでしょう。
② 部下自身に導き出してもらう
最初に部下に質問して、部下自身に考えてもらい、答えを導き出してもらいます。すると、部下も能動的に話を聞いてくれるようになります。私たちは、つい「どうすればいい?」「で、今何をすればいいと思う?」と質問攻めしてしまい、威圧的な態度をとりがちです。これではうまくいきません。
質問する際は、余裕を持って優しく部下に問い、考える時間をタップリ与えることが大切です。例えば、「〜したら、どうなると思う?」「〜したら、〇〇はどう感じると思う?」「〜だったら、あなたはどうする?」のように質問し、相手が考えて、答えを出すまで待ちましょう。
③ 他の人の言葉を引用する
私たち自身の言葉で直接伝えるよりも、権威のある人や著名人の話、専門家の意見などを引用する方が話を聞いてもらえます。説得力も増し、信じてもらいやすくなります。
また、伝えたいことが独善的なものではなく、他の人の意見や考えを踏まえているため、素直に聞いてもらえます。さらに、目の前にいる人から直接言われていない感じが、話を聞きやすい雰囲気にしてくれます。
「教えたい」と思ったときこそ、相手本位で考え、相手の受け取り方に応じて、ここで紹介したテクニックを使ってみてください。
※本記事は、『令和上司のすすめ ―「部下の力を引き出す」は最高の仕事』(日刊工業新聞社)の中から一部を抜粋・編集しています。