コンテンツマーケティングの企画 & 戦略を立てる準備

[ コンテンツマーケティングの企画 & 戦略を立てる準備 ]
今回はコンテンツマーケティングをどのように企画し、戦略やプランを立てる準備をするのかを中心に解説いたします。

Preparation

プランや戦略なしでコンテンツを作るということは、カーナビなしで初めて行くところへ運転するようなものです。最終的には、ゴールにたどり着くかもしれませんが、途中で道を間違えたり、迷ったりしながら進むこともあります。思っているよりも時間とお金を浪費することがあります。また、期待通りに行かないことに不安や苛つきを覚えるかもしれません。そのため、お客さまの役に立つコンテンツを作り、成果を出していくには、しっかりとした企画やプラン、戦略が必要になります。

コンテンツマーケティングの企画

新たに戦略的な活動や取り組みをする際に、関係者との合意形成や承認は欠かせません。組織によって違いはあるかもしれませんが、ビジネスケース(企画書)を作って、新たな取り組みを、どうプランして実行していくのかを明確にしなければなりません。新しい取り組みをする際は、関係者との合意や投資予算が確保できることは重要です。

まず「自社に、どのような課題があるのか?」「マーケティング予算はいくらか?」「失敗したときのリスクはなにか?」などをハイレベルな視点で考えなければなりません。次に、「コンテンツマーケティングが組織の目標達成や課題解決にどう貢献できるか」「なぜ必要なのか」なども考える必要があります。そしてコンテンツマーケティングの目標を設定します。企業によって違いますが、例えば、次のようなものをです。

  • 売上を上げる
  • 商談を増やす
  • より質の良い見込み客を増やす
  • 問い合わせを増やす
  • マーケティング費用を減らす
  • ウェブサイトへの流入を増やす

KPI (重要業績評価指標) も合わせて検討

そして、その目標にきちんと向かっていくためにも、KPI (重要業績評価指標) も合わせて検討します。例えば、次のようなものです。

  • 月、四半期、年間ごとの売上目標を達成する
  • 新たな見積り依頼を受ける
  • 新たに製品デモの依頼を受ける
  • メルマガの新規登録者を獲得する
  • ウェブへの流入やエンゲージメントの増加

投資対効果(ROI) を無視しない

期待される投資対効果(ROI)についてですが、ここを無視して進めることはできません。他社のデータなどがあれば、期待値を設定する際の参考にしましょう。ただ、初めてチャレンジすることだと、特に現場担当者の立場だと、期待できそうな効果や成果のイメージができていても、実際にやってみないとわからないというのは正直あると思います。

やったことがない企画段階においては、確実に得られる効果として、ROIを約束できるものではありません。この点については、関係者と共通認識を持つことは重要です。まずは小さなプロジェクトや段階的に進めていくことで合意しておくといいでしょう。

また、コンテンツマーケティングをすることで諦めなければならない業務もでてきます。なぜ、その業務よりもコンテンツマーケティングを優先して実施するのかも説明できるようにしておかなければなりません。

この企画を立てる時点で、現在のコンテンツマーケティング活動やSEOの状況をある程度把握している必要があります。もし現状把握が不十分な場合、以下の「コンテンツマーケティングの現状を分析する」と「コンテンツマーケティングの目標やKPIを設定する」も並行して進めるといいと思います。

コンテンツマーケティングの現状を分析する

しっかりとしたコンテンツ計画を立てるには、現在の自社のコンテンツマーケティングの状況を把握する必要があります。まずは、コンテンツマーケティングにおけるSWOT分析を行いましょう。ここでは経営や事業レベルではなく、担当者視点における分析です。

コンテンツSWOT分析では、自社の強み(Strength)や弱み(Weakness)、市場や競合他社における機会(Opportunities)、脅威(Threats)の視点で考え、理解するために行います。各項目、重要なものを3つほど挙げると全体像が見えてきます。

コンテンツSWOT

強み

・専門知識を持っている
・膨大な顧客や見込み客のリストを保有している
・リスティング広告の運用経験は豊富
弱み

・コンテンツマーケティングに時間をかけられる余裕がない
・見込み客獲得がメインで、見込み客を育成できるコンテンツがない
・効果測定をできる手段がない
機会

・業界的にウェビナーの参加に慣れてきている
・動画のニーズが高く、商談化率が改善される可能性がある
・導入事例やハウツー系のコンテンツは好まれ、サイトへの流入が増える可能性がある
脅威

・業界的にHTML形式のメールはNGで、ライブ型のウェビナー参加は難しいなどの制約はありそう
・競合企業がダウンロード資料を手に入れ、真似される可能性がある
・競合企業がコンテンツマーケティングに力を入れる可能性がある

クロス分析

SWOT分析を行い、自社と自社を取り巻く環境の現状を把握したあとは、具体的な戦術や活動プランを立てます。このとき、クロス分析をするとアイデアを出しやすいでしょう。クロス分析とは、SWOTのそれぞれの4つの要素を掛け合わせ、方向性を導き出すフレームワークです。

・積極戦略(強み✕機会)強みを機会にいかして成長する
・差別化戦略(強み✕脅威)強みをいかして脅威を退ける
・改善戦略(弱み✕機会)弱みを解消し機会にいかせるよう施策を練る
・致命傷回避・撤退(弱み✕脅威)弱みを受け止めたり脅威を避けたりして、悪影響を最小限にとどめる

コンテンツマーケティングの行動計画案

コンテンツSWOTやクロス分析により、例えば、次のような行動計画案を出します。

  • 技術的な内容のウェビナーコンテンツを作り、見込み客の育成を行う
  • 見込み客にウェビナーを見てもらうよう、ターゲティングメールで案内ができるようにする
  • リスティング広告でハウツー系の資料をアピールして流入を増やし、ダウンロードしてもらうことで、見込み客を獲得する
  • 自社のリストを活用して、テキストメールでお客さまへの情報発信を行う
  • 営業活動でやっている製品の説明を動画にして活用することで、見込み客の育成を改善する
  • 導入事例を外注して制作し、コンテンツを増やしていくことで、サイトへの流入数を増やす
  • ウェブコンテンツの効果レポートを作成する。SEO視点の分析もする
  • 専門業者を活用して、自社メディア制作に集中する
  • ロードショーや勉強会などの物理的なイベントやウェビナーやバーチャル展示会のようなイベント開催に力を入れる

コンテンツマーケティングの目標やKPIを設定する

マーケティングソリューション
4つのプロセス

お客さまに知って→興味を持って→欲しいと思って→買って→使って→満足していただくための流れを、「集客」「育成」「販売」「満足」という大きく4つのプロセスに分けています。このプロセスごとに、どういう目標があるのか、また目標の達成度を評価するKPI(重要業績指標)を設定していきます。

目標戦略KPI
①集客ウェブサイトへの新規訪問者数を、1年で30%増やす事例やハウツー系のコンテンツを作り、オンラインのプレスリリースや外部メディアでの紹介を行う広告以外でのウェブサイトへの流入数
②育成・ウェブから獲得する見込み客の数を1年で20%増やす
・ウェブからの見込み客の獲得コストを10%減らす
・ウェビナーや技術資料の提供により、専門家だと認知してもらう
・リスティング広告により宣伝する
ウェブから獲得する見込み客の数
③販売見込み客からの顧客化率を1年で5%から7%に上げる・製品デモの動画や費用対効果がわかる事例集を増やす
・デモ機の貸出を促す
見込み客から顧客への転換率 (%)
④満足既存客向けのにより買い替えを10件増やすパーソナライズメールにより、効率よく集客して、ロードショーを行う買い替え件数

コンテンツマーケティング戦略を文書化する

Content Marketing Institute (CMI) と MarketingProfs の最新の調査によると、「BtoB企業の57%、BtoC企業の67%が、文書化されたコンテンツマーケティング戦略を持っていない」とのことです。

文書化された戦略がない企業の多くは、うまくいっていないと感じているいう結果になっています。戦略をわかっていないと、ある意味、運任せになってしまうので、貴重な時間や労力を奪われるかもしれません。一方で、戦略を文書化している企業は、「コンテンツマーケティングの取り組みは成功している」と判断している割合は多いとのことです。

また、コンテンツマネジメントにおけるマーケティング担当者の学びたいニーズの調査では、64%がコンテンツマーケティングの戦略を立て方を学びたいとのことです。

Content marketers’ greatest educational needs regarding content management
Published on MarketingCharts.com | Data source: Content Marketing Institute

それだけコンテンツマーケティングの戦略を立てることは大事だと言えるでしょう。次回は、コンテンツマーケティングの戦略を立てる手順について紹介します。

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